性感染症(STD)主な一覧
性感染症(STD)にはどんな病気があるのでしょうか?
性器やその周辺に症状が出るもの、全く別の箇所に症状が出るもの、自覚症状がないものもあります。
病気の種類、症状、感染ルート、治療法など、正しく理解することが治療と予防の第一歩です。
性感染症の種類
症状をクリックすると、詳細をご確認いただけます。
性器クラミジア
●主な症状
性器に軽いかゆみ、おりもの増加、排尿時に軽い痛みが出ることもあるが、無症状で気付かないことがほとんどです。陰部にかゆみや不快感、排尿時に痛みを感じても、軽いため病気だとは気付かないことが多いです。
どんな病気?
世界でも、日本でも感染者数が一番多い性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
クラミジアは感染率の高さと症状が出にくい事から知らず知らずのうちに感染してしまい、感染に気付かずに他人に感染させてしまう病気です。
そのため老若男女問わず、世界的にも感染が拡大している性感染症(STD)です。
日本では感染者数が最も多い性感染症(STD)で、日本性教育協会(JASE)の調査によると特に若年層のクラミジア感染率は世界でもトップクラスの感染率になってしまっている現状です。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 1〜4週間程度
●検査できるまでの期間 : 無症状で検査できるまで2週間
感染していても、無症状または症状が出ても軽度なことが多いため、感染に気がつかずに放置してしまい、パートナーなどとの性行為によって感染を拡大させてしまう原因になる可能性があります。クラミジアの病原体は感染力が強いために、知らず知らずのうちにあなた自身が感染源になってしまうことがあるのです。
女性の場合 |
男性の場合 |
普通は無症状で気付かない事がほとんどです。
【おりもの】
●少し量が増えた
【外陰部】
●軽いかゆみ、腫れ
【排尿時】
●排尿時に軽い痛み
【セックスの時】
●軽い痛みがある
放置すると、症状の悪化・卵管炎・腹膜炎・子宮外妊娠・不妊症の原因になることもあります。また粘膜の炎症によりHIVをはじめ、他の性感染症(STD)への感染リスクも高まります。
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症状は、軽度で気付かないことも多いです。
【陰部】
●軽いかゆみがある
●不快感がある
●少量の分泌物がでる
【排尿時】
●排尿時に軽い痛み
【セックスの時】
●軽い痛みがある
放置すると、症状の悪化・精巣上体炎・男性不妊症の原因になることもあります。また粘膜が炎症するために、HIVをはじめ、他の性感染症(STD)への感染リスクも高まります。
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感染率 |
コンドームを使用しないセックスでの感染が半数以上と言われています。
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器どうしの接触感染
・オーラルセックス
・出産時の母から新生児への感染
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感染のリスクが高い人 |
・パートナーが複数いる
・不特定の人との性行為
・オーラルセックス
・避妊具を使わない
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感染ルート |
粘膜どうしの接触や、膣・尿道からの分泌物の接触がある性行為により感染します。
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原因菌・菌がいる箇所 |
咽頭、膣、子宮頸管部や尿道分泌物の中
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感染部位 |
男性:主に尿道・精巣上体
女性:子宮頸管・子宮・卵管・卵巣
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予防 |
コンドームの着用により感染リスク軽減が可能。
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治療方法 |
適切な抗菌薬を確実に服用することで治癒します。治療において最も重要なことは、処方された量を決められた日数、確実に服薬することです。確実な服薬が行われないと不完全治癒の可能性も少なくないので、治療後は治癒を確認することが望ましいとされています。
また、次に重要なのは、再感染を予防することです。治療する際は、パートナーのクラミジア感染について検査を行い、陽性の場合、パートナーと同時に治療することがとても大切です。クラミジアは過去に感染して治癒に至っていても、新たにクラミジアが体内に侵入すると再感染を起こします。ですから、パートナーが感染している場合、その治療が同時になされなければ、お互いに感染させあってしまう、ピンポン感染の状態に陥ります。
確実な服薬とパートナーとの同時治療が行われれば再発はないと考えられています。(ただし、異なる感染源からの再感染は起こりますので注意が必要です。)
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性器淋菌感染症
●主な症状
おりものが増える、緑黄色になる、不正出血などの症状が見られることもありますが、感染者の8割が無症状で気付かないことがほとんどです。
かゆい、熱を持つ、多量のウミが出る、排尿時の痛みなど、尿道に症状がでます。歩けなくなるほどの痛みをともなうこともあります。
どんな病気?
1回の性行為での感染リスクが30%
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であれば誰でも感染する可能性のある病気です。
淋菌感染症は、クラミジアに次いで感染者数の多く、とても古くからある代表的な性感染症(STD)です。限られた環境でしか生存できない菌ですが、宿主である人のライフスタイルの変化に合わせて性器(泌尿生殖器)や咽頭、眼へ感染するなどと部位を増やしたり、治療に使われる薬が効かない菌に変化するなどして感染を拡大させています。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 2日〜7日
●検査できるまでの期間: 無症状で検査できるまで1週間
男女では症状がまったく違います。
男性は激しい痛みやペニス全体が腫れ上がるほどの激しい症状が出ることもあります。
女性は、症状が出ないことがほとんどで、感染に気が付かずに男性を感染させてしまうことが多いです。
女性の場合 |
男性の場合 |
感染者の大半(約80%)が無症状で気付かないことがほとんどです。
●おりものの量が増えた
●緑黄の濃いおりものがでる
●外陰部の軽いかゆみ、腫れ
●不正出血がある
●膀胱炎症状(頻尿・排尿痛)
放置すると症状の悪化・卵管炎・腹膜炎・子宮内膜炎・子宮外妊娠・急性膀胱炎・不妊症の原因になることもあります。
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歩けなくなるほどの痛みをともなうこともあります。
●多量の黄白色の膿がでる
●尿道のかゆみがある
●尿道が熱っぽい
●排尿時に激しい痛みがある
放置すると症状の悪化・尿道狭窄症(尿道が狭くなる)・精巣上体炎・男性不妊症の原因になることもあります。症状は強く、陰囊内容は腫大し、局所の疼痛は歩行困難を訴えるまでになることがあります。
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感染率 |
コンドームを使用しないセックスでの感染が半数以上と言われています。
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器どうしの接触感染
・オーラルセックス
・出産時の母から新生児への感染
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感染のリスクが高い人 |
・パートナーが複数いる
・不特定の人との性行為
・オーラルセックス
・避妊具を使わない
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感染ルート |
咽頭、直腸、尿や陰部分泌物・膿の中に淋菌が存在し、
粘膜どうしの接触や分泌物の接触がある性行為により感染します。
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原因菌・菌がいる箇所 |
咽頭、直腸、尿や陰部分泌物・膿の中
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感染部位 |
男性:主に尿道・精巣上体
女性:子宮頸管・膀胱(ぼうこう)・尿道
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予防 |
コンドームの着用により感染リスク軽減が可能。
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治療方法 |
症状に応じての静脈注射や筋肉注射、抗生剤の投与で完治します。
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性器カンジダ症
●主な症状
女性は、おりものの量が増えてヨーグルト・チーズ状(白いカス)になる、匂いが強くなる、外陰部や膣が赤く腫れて強いかゆみがでます。
男性は、陰部にかゆみやただれが出る、亀頭が赤くなる、白いカスがでるなどの症状がでることもありますが、どれも軽いため気付かないことが多いです。
どんな病気?
健康な人でも体内に存在することがあるカビの一種です。
カンジダは、健康な人でも体内に存在することがあるカビ(真菌)の一種で、主に女性には頻繁にみられる疾患です。体調の変化で膣内環境のバランスが崩れて発症します。
また、現在では過度の膣内洗浄や強い抗生物質の服用により膣内環境のバランスが崩れて発症するケースも増えています。
症状は?
ストレスなどの体調の変化によって自然発症することがあります。
女性の場合は、日常頻繁に発症がみられる女性特有の性感染症(STD)です。
まれに強い痛みやかゆみがでることもあります。
女性の場合 |
男性の場合 |
女性の性感染症(STD)の中では日常頻繁にみられます。
●おりものの量が少し増えた
●ヨーグルトやチーズ状の白いカスがでる
●外陰部や膣に強いかゆみがある
●外陰部や膣が赤く腫れる
●排尿時に痛みがある
●セックス時に痛みがある
膣のかゆみが続き、ひどい時は排尿時の痛みへつながる場合もあります。おりものの量が増え、臭いも強くなります。
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男性の発症は少ないです。症状が出ても軽度で気付かないことも多いです。
●陰部の軽いかゆみがある
●陰部の軽いただれがある
●亀頭が赤くなる
●白いカスがでる
亀頭炎の症状をおこすこともあり、まれに尿道炎をおこすことがあります。
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感染率 |
常在菌で健康体でも保有していることがある
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感染の可能性が高い性行為 |
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感染のリスクが高い人 |
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感染ルート |
女性の場合は、体調の変化などによりカンジダが増殖し症状が現れることがあります。
男性の場合は、女性の膣内でカンジダが増殖した状態での性行為により、陰部(ペニス)に感染することがあります。
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原因菌・菌がいる箇所 |
膣内
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感染部位 |
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予防 |
免疫力を高く保つ、通気性のよい下着を着用する、デリケートゾーンを清潔に保つことなどで予防が可能です。
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治療方法 |
定期的な膣洗浄や軟膏の塗布によって治療します。
膣洗浄や膣錠、軟膏の塗布、経口錠の服用によって治療します。
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HIV感染症
●主な症状
感染初期は、発熱や頭痛などのインフルエンザに似た症状がでるが数週間で消えます。
5〜10年ほどの無症候期に静かに進行し、免疫が弱まっていきます。
AIDS発症すると、急激な体重の減少、著しい寝汗、下痢の症状がでます。
どんな病気?
いきなりAIDS(エイズ)って、、、
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であれば誰でも感染する可能性のある病気です。
先進国では、HIVやAIDSに関する啓蒙活動や性教育の充実・強化によって、HIV感染者やAIDS患者は、減少傾向にあります。
ですが日本では、検査・治療体制が整っているにも関わらず、HIVやAIDSへの関心が低く、早期発見のための検査が普及していません。
そのためHIV感染に気付かず放置してしまい、AIDSを発症してから検査を行って初めてAIDSだとわかる『いきなりAIDS』が増加しています。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間: 初期感染は、HIV感染から2〜6週間
その後潜伏期間(無症候期)5〜10年ほど。ときに短期間でAIDSを発症する場合もあります。
●検査できるまでの期間: 無症状で検査できるまで4週間
『感染初期』IV感染から2〜6週間)
HIV感染者の50〜90%に症状が出ます。
インフルエンザに似た症状で、発熱、リンパ節が腫れる、咽頭炎、皮疹(ひしん)、筋肉痛、頭痛、下痢のいずれかの症状があらわれますが、数週間程で症状が消えてしまい5〜10年程の無症候期に入ります。症状が軽度の為、風邪やインフルエンザと自己判断してしまい、気がつかないことも多いです。
『無症候期』〜10年程)
ときに短期間でAIDSを発症する場合もあります。
免疫力は徐々に弱くなっていきますが特に症状が出ない沈黙の期間があります。AIDSを発症すると、さまざまな病気(日和見感染症)が併発します。症状も多様でいくつも併発します。
代表的な症状として急激な体重の減少、著しい寝汗、下痢等が続き、適切な治療を行わなければ数年で死にいたる事があります。
感染率 |
感染力は弱いが、HIV以外の性感染症(STD)に感染していて粘膜や皮膚に炎症や傷があると、HIVの感染リスクが数倍高くなる
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器(粘膜)どうしの接触感染
・アナルセックス
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感染のリスクが高い人 |
・アナルセックス
・男性どうしのセックスなど出血をともなう可能性があるセックス
・性感染症(STD)により粘膜に炎症がある人
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感染ルート |
HIV感染は、主に性行為による感染が多いです。
精液や膣分泌物に多く含まれたHIVが、セックスによってできた膣やペニスの粘膜などの微細な傷から侵入して感染します。また、男性どうしのセックスやアナルセックスにより性器と接触する腸管粘膜は、傷つきやすいため出血する可能性が高くなります。そのためHIVが侵入しやすく感染リスクが高くなります。
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原因菌・菌がいる箇所 |
血液・精液・膣分泌物・母乳などにHIVが多く存在し、粘膜や傷口から侵入し感染します。
また唾液、涙、尿などにもウイルスは分泌されますが、人に感染させるだけのウイルス量は分泌されません。
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感染部位 |
膣、ペニス、口腔、肛門などの粘膜、血管に達するような皮膚の傷
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予防 |
コンドームの着用により感染リスク軽減が可能。
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治療方法 |
現在でも、体内からHIVを完全に排除できる治療法はありません。しかし、治療薬の目覚ましい進歩により、きちんと服薬すればエイズへと至ることはほとんどなくなってきています。
抗HIV薬の服薬によってウイルスの増殖を抑えることで、エイズの発症を防ぎ長期間にわたり健常時と変わらない日常生活を送ることができます。
以前は、20種類以上ある抗HIV薬の中から3剤以上を組み合わせて服薬する治療法が中心でしたが、患者さんの服薬の苦痛を軽減するために、服薬錠数の少ない薬剤が開発されて、現在では、一日一回一錠の服薬で血中のHIVウイルス量を抑制して、HIV検査をしても検出されないウイルス量に抑えることができるようになってきています。服薬を開始したら特別な場合を除いて、治療を継続する必要があります。
日本国内では、一日に平均、約4人の新規HIV感染者および新規エイズ患者が報告されています。このうち、約3割の方々は、HIVに感染後もそれを知らずに普通の生活をしていて、エイズを発症して初めてHIVに感染していたことがわかる、いわゆる『いきなりエイズ』です。
エイズを発症してからの治療でもある程度の効果は期待できますが、その効果は発症前と比較すると明らかに劣ります。最適な時期に治療を開始するためには、感染の早期発見がとても重要です。
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梅毒
●主な症状
性器、肛門、唇などに痛くないしこりができ、2〜3週間ほどで消えます。
菌が全身に広がり、赤茶色のできものや発疹が(特に手足)できます。
倦怠感や発熱などの風邪のような全身症状がでます。
どんな病気?
過去の病気じゃない。現在、感染者が急増中です!
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
梅毒は、一昔前の病気と思われていますが、現在、急激に感染者が増加しています。
日本では感染者数が減少傾向にありましたが、2011年ごろから梅毒の感染者が急増しています。特に若い女性を中心に増加しており、年齢別では女性の20〜24歳が最も感染者が増えています。また、出産時の母から新生児への感染による先天性梅毒の感染も報告されています。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 3週間
●検査できるまでの期間: 無症状で検査できるまで4週間
時間の経過とともに多様な症状がでます。
3週間、3ヶ月、3年を目安に症状を変えて身体に異変が生じます。また放置しても症状は消えますが、病気は静かに重症化していきます。
『初期梅毒:1期』(感染から3週〜3ヶ月)
【全身】性器、肛門、唇などの感染部位に痛みをともなわない「しこり」ができる(軟骨の様な硬さで小さいもので小豆大の大きさ)。
足の付け根(鼠径部)のリンパ節の腫れ。放置していても2〜3週間ほどで症状は消えて無症状になる。
感染部位に初期硬結という軟骨の様なしこりができ、それが破裂して硬性下疳という潰瘍になります。しこりや潰瘍(ただれ)に痛みはなく気付かずに放置してしまいます。その病変部には菌が大量に存在するため、パートナーに感染させてしまうことが多いです。
『初期梅毒:2期』(3ヶ月〜3年)
菌が血液を介して全身に広がり、皮膚や粘膜にさまざまな発疹の症状がみられ、倦怠感や発熱などの風邪のような全身症状もでてきます。
【全身】赤茶色のできものや発疹ができる(特に手足に小さな斑点が多数出てきます)。
風邪のような症状(発熱・倦怠感・リンパ節の腫れ・関節痛など)。
丘疹性梅毒疹:大きさが小豆〜エンドウ豆程度で赤胴色の結節ができる。
梅毒性乾癬:手掌や足底に赤銅色の湿り気のある斑ができ、乾燥するとフケのようになる。
梅毒性バラ疹:目立たない薄い紅色の斑が胴体を中心に顔面、四肢や手掌足底等にみられる。
扁平コンジローマ:肛囲、外陰部などに好発する薄い紅色から灰白色の湿り気のあるイボ。
そこから分泌物が出るため感染源になる事が多い。
梅毒性アンギーナ:扁桃を中心にただれや潰瘍などの炎症をおこし、赤く腫れ上がる。
梅毒性脱毛:虫喰い状の脱毛
膿疱性梅毒疹:膿が溜まった水疱が多数できる。
※3ヶ月〜3年にわたり再発を繰り返しながら第3期、4期に移行していくことがあります。
感染率 |
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器どうしの接触感染
・アナルセックス
・キス
・オーラルセックス
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感染のリスクが高い人 |
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感染ルート |
梅毒感染者の粘膜や皮膚の病変部には菌が大量に存在します。そのため性行為などによる粘膜どうしの接触(摩擦)でできた微細な傷などに、病変部や病原菌がいる粘膜が接触すると、病原菌が侵入し感染します。また、陰部だけではなくオーラルセックスによる唇などへの感染も増えています。
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原因菌・菌がいる箇所 |
粘膜や皮膚の病変部に大量に存在
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感染部位 |
男性は陰茎(ペニス)、女性は大陰唇・小陰唇から感染する事が多いです。また他の部位では男女共通で肛門や唇・のどからの感染もあります。
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予防 |
・コンドームの装着
・病変部にふれないキスを含む性行為も感染の可能性があるので避けるべき
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治療方法 |
抗生物質が有効です。初期なら1か月程度の抗生物質治療で治癒しますが、病気が進行するほど治療期間 は長くなります。
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咽頭クラミジア
●主な症状
風邪に似た症状が軽くでるか、無症状のため気づかないことがほとんどです。
どんな病気?
セックスの多様化により近年、急増中!
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
オーラルセックスが一般的になった現在、咽頭(のど)へのクラミジア感染が増加しています。
感染率が高いため、男性の性器から女性の咽頭と性器などへ感染、次は女性から男性が再感染、というパートナー感で感染を繰り返す「ピンポン感染」が起こりやすい性感染症(STD)です。
特に咽頭に感染したクラミジアは、性器への感染より治療に時間を要するため、完治させないと
ピンポン感染を起こしやすいと言えます。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 2週間前後
症状があっても軽度なため気がつかないことがほとんどです。
症状が出たとしてものどがイガイガする程度で、検査をして初めて感染に気づく方が多いです。
感染に気付かないまま性行為を行うことで、パートナーを感染させてしまったり、自分自身が重複感染してしまう可能性があります。
咽頭淋菌と症状が似ており、検査をしてみないとどの病原体に感染しているかが分かりません。
症状は、無症状か出ても軽度で気付かないことがほとんどです。
主な症状としては、風邪に似た症状、のどがイガイガする、のどに腫れや痛みがあるといった症状がみられます。
感染率 |
オーラルセックスによる女性の咽頭から男性の性器(泌尿生殖器)への感染が増加
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感染の可能性が高い性行為 |
・オーラルセックス
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感染のリスクが高い人 |
・パートナーが複数いる
・不特定の人との性行為
・オーラルセックス
・避妊具を使わない
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感染ルート |
オーラルセックスによる粘膜どうしの接触や膣・尿道からの分泌物の接触により感染します。
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原因菌・菌がいる箇所 |
咽頭、膣、子宮頸管部や尿道分泌物の中
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感染部位 |
咽頭
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予防 |
コンドームの着用により感染リスク軽減が可能。
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治療方法 |
適切な抗生物質の服用や点滴で治療します。
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咽頭淋菌感染症
●主な症状
風邪に似た症状が軽くでますが、無症状のため気づかないことがほとんどです。
どんな病気?
オーラルセックスによる感染が急増しています!
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
オーラルセックスが一般的になった現在、咽頭(のど)への淋菌感染が増加しています。
咽頭への感染は、男女共に症状が軽度なため、気づかないうちにパートナーに感染させてしまうことがあります。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 1週間〜2週間
症状があっても軽度なため気がつかないことがほとんどです。
感染して症状が出た場合でものどがイガイガする程度で、検査をして初めて感染に気付く方が多いです。
感染に気付かないまま性行為を行うことで、パートナーを感染させてしまったり、自分自身が重複感染してしまう可能性があります。
咽頭クラミジアと症状が似ており、検査をしてみないとどの病原体に感染しているかが分かりません。
症状は、無症状か出ても軽度で気付かないことがほとんどです。風邪に似た症状、のどがイガイガ、のどに腫れや痛みが症状としてみられます。
感染率 |
オーラルセックスによる女性の咽頭から男性の性器への感染が増加しています。
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感染の可能性が高い性行為 |
・オーラルセックス
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感染のリスクが高い人 |
・パートナーが複数いる
・不特定の人との性行為
・オーラルセックス
・避妊具を使わない
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感染ルート |
咽頭、直腸、尿や陰部分泌物・膿の中に淋菌が存在し、粘膜どうしの接触や分泌物の接触がある性行為により感染します。
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原因菌・菌がいる箇所 |
咽頭、直腸、尿や陰部分泌物・膿の中
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感染部位 |
咽頭
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予防 |
コンドームの着用により感染リスク軽減が可能。
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治療方法 |
適切な抗生物質の服用や点滴、注射により治療します。
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膣トリコモナス症
●主な症状
おりものが増える、悪臭がする、泡状、黄緑色になるなど、おりものに異常がでます。ただし、感染しても半数は無症状です。
少量の分泌物、排尿時の痛み、トイレが近くなるなどの症状がでることもありますが、どれも軽いため気付かないことが多いです。
どんな病気?
悪臭(ときには、魚の腐敗臭の様な)が性器から…
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
トリコモナスの感染源は主に性行為ですがそれだけではなく、タオルやトイレなど身近なものも感染源になります。また、強い悪臭をともなうことから性行為において特に嫌悪されている性感染症(STD)の1つです。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 10日〜6ヶ月
●検査できるまでの期間 : 無症状で検査できるまで10日〜6ヶ月
・男女で症状がまったく異なります。
・通常は感染から10日程で症状が出ますが、感染者の半数が無症状です。
・6カ月以内に症状がでてくるのは、そのうちの3分の1に上ります。
女性の場合 |
男性の場合 |
症状は男性よりも強いものの、感染者の半分が無症状です。
●悪臭が強いおりもの(ときには、魚の腐敗臭の様な臭いがする)
●あわ状のおりもの
●黄緑色のおりもの
●大量のおりもの
●排尿時に痛みがある
●セックス時に痛みがある
放置するとパートナーとの性生活にも大きな支障がでてしまうこともあります。
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症状は軽度で気付かないことも多いです。
●少量の分泌物がでる
●排尿時に軽い痛みがある(ほぼ気付かない程度)
●ひん尿
尿道の感染だけであれば排尿により洗い流されることもあります。
放置すると尿道炎・前立腺炎をおこすこともあります。
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感染率 |
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス・性器同士の接触感染
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感染のリスクが高い人 |
・野外や不衛生な環境でのセックス
・不衛生な道具を使ってのセックス
・不特定多数でのセックス
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感染ルート |
下着やぬれたタオル、トイレの便座や浴槽などからも感染することがありますが、現在は衛生環境が整っている為、トイレの便座や浴槽等からの感染は少なくなっています。
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原因菌・菌がいる箇所 |
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感染部位 |
男性:尿道・前立腺・精嚢
女性:膣・子宮頚管・尿道・膀胱
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予防 |
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治療方法 |
抗トリコモナス剤(メトロニヂゾール)の服用や、膣錠を使用して治療します。
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B型肝炎
●主な症状
倦怠感、食欲不振、吐き気などの症状のほか、色の濃い尿がでます。
慢性肝炎では潜伏期間が6ヶ月以上のこともあります。
どんな病気?
B型肝炎はワクチンで予防ができます!
B型肝炎ウイルスの感染によって肝機能障害(肝炎)を発症する性感染症(STD)です。
ウイルスが持続感染すると肝炎が慢性化することがあります。
この状態を慢性肝炎といい、放置してしまうと肝硬変や肝がんなどを発症することがあります。
現在、日本ではB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスが肝がんを発症する原因の約75%を占めています。
症状は?
慢性肝炎では潜伏期間が6ヶ月以上のこともあります。
全身の症状としては、倦怠感、食欲不振、吐き気、色の濃い尿等があります。
全身に黄疸(おうだん)が出るようであれば入院が必要で、尿は更に濃褐色になり、醤油のような色になります。
免疫力によりウイルスは排除されることが多いです。免疫力でウイルスを排除する一過性感染でも急性肝炎を起こすことがありますが慢性化はしません。
ただ、まれに劇症肝炎を引き起こし死に至るケースもあります。
また、ウイルスを排除できず長時間(6ヶ月以上)感染が継続する持続感染は、慢性肝炎に移行し、その中から肝硬変、肝がんを発症することがあります。
感染力が強いウイルスですが、早期治療により完治できる病気になりました。
感染率 |
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器どうしの接触感染
・アナルセックス
・出血を伴う可能性がある性行為
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感染のリスクが高い人 |
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感染ルート |
出血をともなう可能性がある性行為により感染リスクが高くなります。
タトゥーなどでの針の使いまわしや注射の回し打ちによる感染も増えています。
出産時の母から新生児への感染では、産道でB型肝炎ウイルスに感染した血液が赤ちゃんの体内に入ることで感染します。現在は母子感染予防対策により感染はほとんど見られません。
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原因菌・菌がいる箇所 |
血液、精液、膣分泌物
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感染部位 |
粘膜や傷口から血液や体液を介して感染
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予防 |
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治療方法 |
安静臨床が基本の治療となります。
点滴での水分・栄養補給を行います。
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C型肝炎
●主な症状
倦怠感、食欲不振などの症状がでるが、軽度で気づかないことが多いです。
C型肝炎ウィルスは慢性化率が非常に高く、通常の感染で60〜70%が慢性化するといわれます。10〜15年かけてウィルスは増殖していくが、症状が出ないまま肝硬変や肝臓がんに移行することもあります。
どんな病気?
感染者の70%が慢性肝炎(キャリア)に!
・C型肝炎ウイルスの感染によって肝機能障害(肝炎)を発症する病気です。
・性行為による感染は少なく、主に血液が直接体内に入ることによって感染します。
・また、慢性化率が非常に高く、通常の感染で60〜70%が慢性化します。
・気づかず放置してしまうと肝硬変や肝がんに移行する可能性があります。
現在日本では、
肝がんの約60%がC型肝炎ウイルスが原因になっています。
ただ、肝炎ウイルスの治療は飛躍的に進歩しており、早期発見・適切な治療により体内からウイルスを排除することが可能になりました。
現在日本では治療の進歩にともないC型肝炎ウイルスが原因の肝がんは徐々に減少しています。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 2ヶ月〜3ヶ月程
症状は軽度で気づかないことが多いです。
主に、倦怠感(軽い)、食欲不振(軽い)という症状があります。
体が少しだるいや食欲がない程度で黄疸も出にくいため気がつかないことが多いです。
C型肝炎ウィルスは慢性化率が非常に高く、通常の感染で60〜70%が慢性化すると言われています。また、初期感染時に軽い症状が出ても気づかずに放置してしまうことが多いです。
10〜15年かけてウィルスは増殖していきますが、症状が出ない時期を経て肝硬変や肝臓がんに移行する可能性があります。
感染率 |
夫婦間のC型肝炎ウイルス 感染率は年間0.23%といわれています。
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感染の可能性が高い性行為 |
・出血をともなう可能性がある性行為
・生理中のセックス
・アナルセックス
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感染のリスクが高い人 |
・刺青をいれる
・注射器を使いまわす
・不衛生な器具を使用してピアスの穴をあける
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感染ルート |
感染経路は血液のみです。
アナルセックスなど出血をともなう可能性がある性行為によって感染します。タトゥーなどの針の使いまわしや、覚せい剤等での注射の回し打ちによる感染も増えています。
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原因菌・菌がいる箇所 |
血液
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感染部位 |
肝臓
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予防 |
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治療方法 |
インターフェロン療法や、肝庇護療法を行います。
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子宮頸がん・HPV(中高リスク)
●主な症状
・子宮頸管にウイルスが残り、細胞をがん化させることがあります。
・子宮頸がんの原因のほぼ100%がこのウイルスです。
どんな病気?
長期感染は、子宮頸がんの発症リスクが…。
性感染症(STD)は、性行為の経験がある方であればだれでも感染する可能性のある病気です。
HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)は、性行為の経験がある女性なら一生に1度は感染するといわれるウイルスです。このウイルスの持続感染により、良性なら尖圭コンジローマ、悪性なら子宮頸がんを発症することがあります。
子宮頸がんの発症率は20代後半から30代で急増しており、若い女性を中心に増加傾向にあります。また、近年、オーラルセックスにより咽頭(のど)等に感染し咽頭がんや口腔がんなどを引き起こす可能性があると言われています。
症状は?
●感染してから症状が出るまでの期間 : 数年から数十年
感染から数年から数十年、症状が出ません。
尖圭コンジローマを発症するHPV(型)とは違うHPV(型)が体内に残り細胞をがん化していくことがあります。
近年、オーラルセックスにより咽頭等に感染し、がん化する可能性があると言われています。
男性でもクンニングスなどの性行為により咽頭へ持続感染することがあり、咽頭がんを発症する可能性があると言われています。
●子宮頸がん
子宮頸管にウイルスが残り、細胞をがん化させることがあります。子宮頸がんの原因のほぼ100%がHPVです。
感染率 |
女性の場合、性行為があれば一生に1度は多くの方が感染するといわれる。
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感染の可能性が高い性行為 |
・セックス
・性器どうしの接触感染
・オーラルセックス
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感染のリスクが高い人 |
・パートナーが複数いる
・経験人数が多いほど感染リスクは高い
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感染ルート |
性行為時の摩擦などによる皮膚や粘膜の微小な傷から感染します。
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原因菌・菌がいる箇所 |
子宮頸部
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感染部位 |
子宮頸部
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予防 |
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治療方法 |
子宮頸がんが発見された場合、手術療法、化学療法、放射線療法を単独、もしくは組み合わせて治療します。ごく初期の段階で発見されれば、切除範囲を限定した手術により、子宮を温存して妊娠・出産を可能とする治療ができます。発見が遅くなりがんが周囲に拡がっている場合には、広汎な切除が必要となり、場合によっては卵巣などの周囲組織も含めた広汎子宮全摘が必要になることもあります。
子宮の奥で胎児を育てる袋状の部分である子宮体部に対し、出産までの間、胎児が出てこないように袋の口を締めているのが子宮頸部になります。この口を締めている子宮頸部を部分的に切除することにより、妊娠時には、早産のリスクが高まりますから、将来、妊娠出産を望む方は、より早い段階で発見することにより切除範囲をより小さくすることが重要です。
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性感染症の現状
日本国内の新規HIV感染者数は、一時期、減少傾向にありましたが、現在は再び増加し、横ばいの水準となっています。
また、保健所でのHIV検査及び相談件数は減少しているため、HIVに対する関心度の低さが問題となっています。
性感染症の中でもっとも患者数が多いとされているのは、性器クラミジア症です。 症状が進むと、卵管炎や子宮内膜炎を引き起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因となる事があります。
エイズ患者はクラジミアに感染していることが多い事から、“HIVに感染しやすいSTD”としても問題視されています。
また、最近はオーラルセックス(口腔性行)を介した感染も目立っており、性交渉をしていなくても口から性器へ、性器から口へと感染しますので注意が必要です。